酒場のママ
あ、ども。
ワタクシです。
高田馬場で酒場のママをしている知人がいます。
ママ、といっても女性のいるタイプのお店ではなく普通のバーです。
その上、年齢もまだ30歳くらいと若く、ママという風情ではありません。
したがって本人はママと呼ばれることを嫌いますが、それでもワタクシは時折ママと呼びます。
理由は至極くだらないのですが、
高田馬場と酒場のママで韻が踏めるから。
そうです。
そこに山があるから登るという登山家のように、そこに踏める韻があるから踏むのが我々「愛韻家」のたしなみなのです。
据え韻踏まぬは男の恥、の精神でアグレッシブに踏みまくる毎日です。
ちなみに、会話の途中でも頭の中とかカナダと佐賀みたいな文言を織り交ぜてステルスで韻を踏んで楽しんでますが、未だに本人にはバレていません。
いつか
「あ、今踏んだね、韻」
と指摘されるまで続けていこうと思っております。
みんなやってるよ
昨年の秋、雨上がりの蒸し暑い夜でした。
珍しく「今夜は売上が悪いから飲みにきてくれ」と赤紙が届き、高田馬場へ赴きました。
静けさの飽和した店内でハイボールを飲みながら、
「あ、undercoverでもギリ踏めるなぁ。でもundercoverの服とか持ってないや」
などと考えていると、なぜか恋愛の話になりました。
ちなみに、
我々の普段の会話の九割は、お互いをアンパンマンの登場人物に例えるなら誰かという話に終始します。
そんな小学3年生の頭の中みたいな会話をする仲間の性なのです。( ´ ▽ ` )
珍しく面妖な方向へ話が進み、ひとしきりママの色恋の話に花が咲きます。
バツイチ生活も板につき、ことさらパートナーもいないワタクシとっては、まるでクラスの一軍を眺める五軍の陰キャみたいな気持ちでママの話を聞いていたのですが、なぜかママは突然きっぱりと言い放ちました。
「ねえ! 婚活アプリやりなよ!」
ご存知でしょうか。婚活アプリ。
正直、めちゃくちゃ抵抗があります。
情報商材売買とかマルチ商法と同じくらい抵抗があります。
「うーーーん。婚活アプリかあ・・・。俺には相席居酒屋が限界だと思う」
「むしろ相席居酒屋のほうが無理くない?」
「そうかな」
「知らない人と出会って4秒で即おしゃべりだよ」
「うーーーーーん。たしかに」
「でしょ? 婚活アプリのほうが絶対にいいって」
「でもなぁ・・・」
はっきりしないワタクシの態度に、ママが業を煮やします。
「なんで婚活アプリが嫌なの?!」
果たしてワタクシは、なぜ婚活アプリに抵抗があるのか。
自分でも考えてみたのですが。うーん。なんというか、怖いのです。
返答にあぐねたワタクシは、ドラマ「101回目のプロポーズ」の浅野温子ばりに、言いました。
「・・・怖いの」(ちょっとモノマネっぽくエモーショナルな言い方で髪をかき上げる仕草)
が、若いママには浅野温子が伝わらなかったようです。
「は? 大丈夫だって!」
「・・・怖いんです」
「みんなやってるよ!」
どっちの意味でしょうか。
みんなやっているからこそ、そこに需給があり流動性が発生するので勝機があるという意味なのか。
それとも、みんなやっているから怖がらなくても大丈夫という意味なのか。
後者なら、違法薬物をすすめる悪いお友達とまったく同じ論法じゃないか。
プロフィールという名の自分と向き合う
とはいえ他人の口車と丸ノ内線にはよく乗ってしまうワタクシは結局、婚活アプリをインストールしました。
自己紹介は例文をそのまんま使用し、顔写真はママがいつか撮った集合写真を拡大トリムして送ってくれました。
その後、収入や学歴などのスペックや、血液型、兄弟の構成、体型、話せる言語、出身地、喫煙習慣の有無、同居人、初回デート費用はどちらが支払うか。
そんなことまであらかじめ決めておくんだと妙に感心するプロフィールを入力するのですが、この時点でワタクシはすでにうんざりしてしまいます。
「恋愛ってさ、こういう事をあらかじめ擦り合わせてから始めるものなのかな?」
「はぁ? 古いよ、なんか」
「もっと、こう、フィーリングっつーか」
「もういいから貸して」
露骨にめんどくさがるワタクシからスマホをひったくったママが、バシバシとワタクシの情報を入力していきます。
「長男?」
「うん、長男」
「へー、長男なんだぁww」
「なにわろてんねん」
「外国語とか喋れる?」
「日本語すら喋れない」
「なにそれ」
「滑舌悪いし」
「大丈夫。滑舌の項目はないから日本語のみにしておくね。出身は?」
「日本のカリフォルニアこと静岡県」
「やせ型ね」
「普通だろ」
「じゃあ、やや痩せ型にしておく」
「ついでにやや短足」
「そんな項目ない」
「あと足の指がやや長い」
「そんな項目もない」
「でも指が長い人は良いDNA持ってるんだよ」
「恋愛にDNA関係ないから」
「中長期的には大いに関係あるじゃん」
けっ。「足の指が爬虫類っぽい」というワタクシの唯一のアドバンテージが活かせない。
この婚活市場にはワタクシの足の指のキュートさに気づく人は皆無である。
爬虫類専門のアプリ、どこかにありません??
登録が完了してしばらくすると、いいね的なやつが届きだします。
なんだか怖くなって再びママにスマホを渡すと、テキパキといいね的なやつをお返ししているようです。
ワタクシにはその行為がたいへん軽率に思えてママをたしなめるのですが、彼女は歯牙にも掛けない様子。
「てか、男性は課金しないとメッセージ送れないっぽいよ」
「じゃあやめようよ、怖いし」
「せっかくマッチしたんだから勿体ないよ。課金しなよ」
マッチさせたのはお前だろ。
とはいいつつ、、、、、。
「はーい、顔認証だよ✨」
ハイボールにすっかり酔わされ、ママの言う通り三ヶ月10000円プラン(!!)をあっさり顔認証で課金するワタクシ。
顔認証はたいへん便利な技術ですが、便利すぎて消費に抵抗がなくなります。貧乏なくせにうっかり10000円も支払ってしまうのです。ものの2秒で。
金融と酒を同じテーブルに載せてはいけません。決して。
1万円も払うんだったら常連さんにメシ奢った方がマシじゃねーか。
「せっかく課金したんだから、話のネタになるようなオモロい出来事があるといいのですが。。。」
よもや自分が華やかな恋愛をできるなどとは思ってませんが、それでも課金した分の話のネタくらいは欲しいと思うのが人情です。
そう。
もうこの時点でブログの「起承転結」の「起、承」までは構成されたも同然。
あとは未知との遭遇を待つのみです。
課金したからといって有利になるほど人生ってやつはゲームじゃない
課金を済ませるとマッチした相手へのメッセージ送信が可能になります。
ワタクシのスマホをかっさらったママが、片っ端から相手のプロフィールや写真を確認していいねを連投しだしました。
「あ、この人いい♡」 ポチッ。
「この人も可愛い〜」ポチッ。
「あ、この人いままでで一番美人」ポチッ。
「この人、さっきの可愛かった人の2倍可愛い!」ポチッ。
・・・例年のボジョレー・ヌーボーかよ。
ママがいくつか模範的なメッセージを送ると、何人かから返信がありました。
中には少し様子のおかしい人もいます。
執拗に晩ご飯を食べたかと尋ねてくるアカウントはなかなか強烈でした。
「今夜はもうご飯を食べましたか?」
ママが晩ご飯の件には触れずにオーソドックスな挨拶文を返信すると、
「あなたは私の質問に誠実に回答すべきだ」(原文)
と強めに指摘してきます。
なんか怖えーよww
凶暴性を感じるよ。
どっちでもいいじゃん。食べてようが食べてなかろうが。
もしかして、晩ご飯に親でも殺されたん?(´・ω・`)
確かに「ご飯を食べたか」という質問にはイエスともノーとも回答はしてませんが、まずは挨拶が先でしょ。
挨拶よりも先に食事の完了を確認するって、どういうカルチャーだよ。
もしまだ食べてないのなら今から一緒にご飯いきましょうってコト?
仮に無人島に漂着したくらい飢えてたとしても、いきなりお前と一緒にメシは行かねーよw
いま酒場のママに居るし。高田馬場と。
晩めし確認ハラペコネキにすっかりビビったワタクシは、再び浅野温子をブッキングしました。
「・・・ねえ、やっぱり、怖いの。」
「婚活」という言葉の先にある「結婚」からイメージする暖かな印象とは裏腹に、婚活アプリはどこか殺伐としていて治安の悪さを感じます。
さながら、東京の下町みたいですね。
「もうやめようか、怖いし」
「怖いってなによ?」
「知らない人って、怖いじゃん」
ワタクシはスマホをポケットにつっこみ、原価が安くて売価が高いハイボールのグラスを傾けました。
「ってかさ、そもそも俺、再婚したいなんて言ったっけ?」
「そうね。食パンマンも独身だしね」
ワタクシはアンパンマンのキャラに例えると食パンマンだそうです。本当はカビるんるん希望ですが。
カビるんるんって可愛いですよね。
ちなみにママをクレヨンしんちゃんのキャラに例えると、埼玉べにさそり隊のリーダーです。
翌週には飽きる
翌週、ワタクシはアプリから自分の顔写真を削除し、プロフィールを削りました。
ところが、写真を不掲載にしているアカウントにまでいいねを送ってくる人がいます。
顔も出さずにプロフィールの記載もないアカウントにわざわざいいねを送ってくる神経が理解できません。
もちろんこちらからメッセージを返信することはありませんが、そういうアカウントに限って執拗にメッセージを送ってきます。
「こんばんは」
ある日、根負けしたワタクシが社交辞令のつもりで挨拶文を返信すると、さっそく「LINEを教えてくれ」と距離感のバグった要望が届きました。
・・・この女、なんだか怪しいぞ。
瞬時にピンときたワタクシの耳には、ブログの起承転結の「転」が転がりだす音が聞こえてきました。
マッチした相手は仮想通貨詐欺師
MKと名乗るその女性は、やや日本語が不自由なようでした。
というのも、彼女は台湾人との混血で、家族の希望に従うかたちで一昨年日本へ帰ってきたとのことです。
はっきりとは聞いてませんが、どうやら国籍は中華民国籍で、日本の永住権をもっているようです。
「だから日本語が下手でごめんなさい。」
日本の永住権は難易度が高いと思われがちですが、学生ビザで入国した留学生でも日本で法人を設立して代表者になってしまえば投資家ビザを取得できます。
そのスキームは割と有名で、留学生のアルバイトさんなども(以下、自粛)。
逆に、インドカレー屋さんの従業員などは専門職のビザなので居住権はあっても職業選択の自由がなかったり、政治不安を抱える国出身の方が難民ビザを申請すると弾かれてしまう可能性が高かったりするようです。
結局、外国人なんて労働力のバッファーに過ぎないというのが、日本国の回答のようです。
話が逸れました。
とにかくそういう訳で怪しさがムンムンの彼女の説明を無視していたところ、数日に一度LINEが一方的に届くようになりました。
婚活アプリではアルファベットで名乗っていましたが、LINEでは名前を美恵子と名乗り、LINEのアカウント名はperfect。
にもかかわらず内容はむしろエンプティで、突然ヴィトンのバッグやCHANELの香水の写真を添えて「叔母へのプレゼント」だと言います。
ドンキでの散財と既読スルーが特技のワタクシは、新キャラ「叔母さん」のいきなりの登場に、彼女への疑惑をより一層強く確信しました。
と申しますのも、、、、。
「婚活アプリ 詐欺」をググった中に次のようなケースがいくつかあったのです。
アプリを通して知り合った美人の外国人が投資を勧めてきます。叔母が相場師で、叔母の助言で仮想通貨投資をして利益を得ている。あなたにも私のように儲かってほしい。的な感じで指定された海外の仮想通貨取引所に口座を開設して投資資金を入金するように促されます。実際に入金して叔母のリアルタイムの売買指示に従って取引をすると利益を得られます。口座の残高が増えたのでいくらか出金しようとすると、なぜかその取引所は出金できない。
みたいなオチのようです。
つまり最初に入金した資金がそっくりそのまま返って来なくなってしまうのです。
ふっふっふっ。なるほどですね(*´ー`*)
そっちが描くストーリーがわかってしまえば、あとはこっちのもんです。
ほらね、本性をあらわした。
二日後、真夏の夕立のようになんの前触れもなく突然次のようなメッセージが届きました。
キタ───O(≧∇≦)O────♪
まったく、期待を裏切らない人だ(*´ー`*)
さらにそれから三日後、、、、、、
あなたは、この三日間で50万円を儲けることができたのに、それをしなかった。
その機会損失は、言い換えれば50万円を失ったようなものだ。(意訳)
・・・・暴論やん(´・_・`)
なにそのタラレバ。
しかも彼女は1ビットコインが150,000ドルまで上昇すると断言しています。
うーーーーむ。
どうしようかなーーー😏
「君子危うきに近寄らず」とはいうものの、好奇心には勝てません。
地雷を踏み抜いていくスタイルで、翌週ワタクシはおもむろにLINEを返信しました。
150,000ドルを目指して上昇すると主張していた彼女ですが、ワタクシが価格調整の下落が発生するだろうと主張するとすんなりと見通しを変更してしまいます。
もはやこの時点で婚活アプリで知り合った二人の会話とはとても思えません。
数日後、念のため再び彼女に質問してみました。
ん?????
お、おじさん???!!!
叔母さんどこ行ってしもうたん??(´・ω・`)
設定ガバガバやん(´・_・`)
共同投資を提案される。
自分にはどう足掻いてもアラしかないくせに他人のアラ探しが大好きなワタクシは、しばらく彼女を泳がせてみることにしました。
すると、一ヶ月ほどでついにあの言葉を引き出すことに成功しました。
パンパカパーン♪
執念の勝利であります。( ^ω^ )
ここぞとばかりに共同投資の話に乗っかってみると、
へ?
Bitcoinという名前の取引所はありません。
Bitcoinはもちろん投資対象の仮想通貨の名前です。
例えるなら、飲み会の会場を決めようとしているのに、飲みたいビールの銘柄を回答するようなものです。
とはいえ、彼女が仮想通貨詐欺師でありながら仮想通貨に明るくないことは既に承知しています。
ワタクシが「資金が少ないのであまり多くの額を投資できないけれど構わないだろうか」と問い合わせると、彼女は小資金で構わない、ある学生は50,000円という小資金で共同投資しているという旨の返答と、
共同投資(の口実で絶賛詐欺に引っ掛け中)の相手とのスクショを添付してくれました。
さて、
・・・・お気づきだろうか・・・・・。
彼女がスクショしたLINEの既読の文字をよくご覧ください。
「已读」
と表記されています。
「既読」を意味する中国語ですが、これ実は「簡体字」なのです。
中国大陸では簡体字と呼ばれる略式の漢字が使われます。
一方、台湾や香港やマカオは繁体字と呼ばれる画数の多い複雑な漢字で表記します。
彼女がもし本当に台湾人ならば、日常で使用している漢字は繁体字であり、「已讀」と表記されるはずです。
しかし彼女のスクショには簡体字の「已读」。
ワタクシの中の江戸川コナンくんがまた一つ真実を突き止めてしまいました。
ペロッ。これは・・・・大陸の方の中国人っ!
かわいそうな学生さんのために一矢報いてやろうと思い、念のため彼女にワタクシの口座へ送金するように指示してみました。
すると、
「なぜですか?」
至極真っ当なリアクションでしょうwww
さっきまでこちらサイドが送金するという意味で使っていた「送金」が、いつしか自分サイドが送金する側に論調がズレているのですから。
それに対してあくまですっとぼけるワタクシ。
違う違う違う。そうじゃな〜い〜♪
彼女の中で鈴木雅之が歌っているのが手に取るような動揺が見て取れます。
そして彼女は言い放ちました。
先生っ。せんせいっ。それはせんせ〜い〜♪
今度はワタクシの中の森昌子が熱唱しだします。
そして、
ダチョウ倶楽部なみの綺麗なフリで誘導すると、、、、、。
キタコレ!!!!(*´ー`*)
ついに御本尊のお出ましです。
そうです。
うっかりこの謎の取引所に口座を開設して入金してしまうと、そのお金は2度と返って来ない(らしい)です。
さて、このあとワタクシはどうなってしまうのか。
まだ今現在も彼女を少し泳がせながら「起承転結」の「結」を探っております。
従いまして、つづきは次回!!!!ごめん!!!!!
( ´θ`)ノシ
【続く】
【続き】
とはいえ、わざわざ新しく彼女が指定する取引所の口座を開設するのは鬱陶しいです。
しかもそこは恐らく取引所を装った詐欺サイトなので、とても抵抗があります。
ワタクシは「先生」に既存の口座を利用しての共同投資を提案してみました。
「先生」は新規に上場された仮想通貨は100パーセント儲かるとおっしゃってます。
投資でも事業でも学業でもグルメサイトの飛び込みの営業でもそうですが、不確実性を完全に排除できない領域で「絶対」とか「100パー」とか言い出す人間はだいたい詐欺か馬鹿です。
恐らく彼女は上場前の未公開株式を取得できれば、上場後に大きな利益になるみたいな事を言いたいのだと思います。
しかし一般の投資家が売買できるのはすでに上場されている株式で、そうなるとそこは相場の世界、必ず価格が上昇するとは限りません。
それは株式のみならず、仮想通貨にも同じことが言えると思います。
念の為、彼女が指定したSTCという仮想通貨を検索したところ、上場直後に大きな出来高を伴って下落し、その後もじわりと下げながら横ばいに落ち着いています。
それを指摘すると、
・・・・寝なさいwwww
敵の接近に恐れおののいて現実から目を逸らすように土の中に頭を突っ込むダチョウみたいな彼女に睡眠を促され、ワタクシは夢の中へ落ちてゆきました。
(_ _).。o○スヤァ
それからもしばらく彼女を泳がせていたのですが、話はあまり進展しませんでした。
たまにメッセージが届くのですが、そのほとんどは
「うちやで。どや、げんきか? 」
「うちはWWCという通貨の取引でボロ儲けやでww」
「ほんま笑いが止まらんわww」
「お前も早く口座を作ってこっちの世界の景色、一緒に見ようや(ドヤァ)」
(意訳)
と一生懸命に射倖心を煽ろうとする一辺倒で、対話の成立するものではありませんでした。
どうにか詐欺取引所(ラスベガスというらしい)の口座を開設させ、そこに入金させてやる!
右往左往しながら様々な角度から懐柔をも目論んでいるのは伝わってくるのですが、こちらには口座開設の意思はありません。
もちろん鬱陶しいメッセージも一子相伝の奥義「既読スルー」をキメて、やりとりは終了。
仮想通貨投資詐欺師に一泡吹かせたい!
というワタクシのなけなしの正義感も虚しく、こちらが動かない限りは起承転結の「結」はおとずれません。
コ・コ・ロ・オ・レ・ル
とはいえ、せっかく乗りかかった船です。
そこでワタクシは全く別の角度から彼女を追い詰めてみようと考えました。
まず、彼女のいう怪しい取引所に口座を開設したように装い、共同投資の具体的な報酬を提示してもらいました。
8%って、高すぎません???
安倍内閣の時の消費税やん。
とりあえず相手の提案に合意したところで、、、、、
用意していた渾身のクリティカルヒットをお見舞いしてみました。
ところがワタクシの意図が伝わらなかったようで、
詐欺師の分際で妙に納税意識が高い彼女からは素っ頓狂な返答が(´・_・`)
いくらであっても報酬をもらって投資の指示をするのであれば、それは投資助言業です。
となれば、財務局へ届けて許認可を得ているはずです。
もちろん許認可など持っていないだろう。( ̄▽ ̄)
それを承知で、ほんのちょっと打診するスケベなキツツキみたいに嫌らしく突っつくと、
醤油せんべいを焼く老婆の所作のように見事な手のひら返しで窮地を掻い潜ろうとする彼女。
取引を教示をしているだけだから、投資の助言ではない。
きっとそう言いたいのでしょうが、それは詭弁に過ぎません。
数行前のレスでしっかりと成功報酬を提示し、共同投資の合意を促しているのはむしろ彼女の方なのです。
じわりと土俵際に追い詰めるワタクシ。
またもや詭弁で逃げようとする彼女。
一進一退の攻防。
デジタル通貨だから投資ではないと言いたいのでしょう。
だとしたら、現物取引以外は全て投資ではないということになりませんか?
先物やCFDやFXは投資じゃないというのは無理がありませんか?
恐らくそれを指摘しても彼女の日本語能力と金融リテラシーでは理解できないでしょうし、論旨がどんどんズレていってしまいそうな気がします。
というわけで、
申し訳ないが、勝手に「はい論破」を宣言させていただき、数日後、ワタクシは起承転結の結に向けて更なる作戦を遂行するのでした。
そう。
負けられない戦いが、そこにある。
ってか、
俺ら、
そもそも、
婚活アプリで知り合ったんだよね。
はにゃ??
(´・_・`)
架空の女
二日後、彼女からメッセージが届きました。
コテンパンに論破されたたった二日後にこの剣幕でメッセージを送ってくるメンタルの強さには頭が下がります。
ワタクシはこの出会いの最終章を綴るため、架空の女性をでっち上げ、彼女に正面からぶつけてみることにしました。
ほらね。
絵に描いたような「騙されてるおっさん」の完成です。٩( ᐛ )و
ちなみこの架空女性Aは、彼女自身が語っている彼女のスペックに寄せています。
親戚がアナリストであるというディテールも彼女のそれと一致しています。
というかそもそも、ハナから「彼女」は実在しないとワタクシは思っています。
アイコンの女性はどこかから手配した画像で、中身は詐欺師のおっさんでしょう。
そうです。
この構造。
中国人のおっさんと日本人のおっさんが、お互いに架空の女性をでっちあげて騙し合いの攻防を繰り広げているのです。
なんという不毛なやり取りでしょう。
不埒な中国人VS底意地の悪い日本人!
ファイッ!!!!
グラスの中で揺れる氷よりも軽薄なゴングを音が鳴りひびき、空虚な戦いの火蓋が切って落とされました。
ワタクシがあくまで「典型的なカモのおっさん」を演じて架空女性Aとの共同投資を匂わせると、彼女は真正面から反論してきます。
曰く、彼女の叔母はマカオの金融管理局の行政官だそうです。
叔母から確実なインサイダー情報が手に入るから、決して損はしない。
彼女の「私の方が優れている」という主張は、そもそもがグレーな情報を根拠としているわけです。
詐欺師であることを差し引いても、「ゼニが手に入れば何をしても良い」という凶悪な思想が根底にあるようで、なんだかゾッとします。
というか、どうせ詐欺をするのなら、そういった不法性は隠して表向きは誠実な投資家を演じた方が成功率が上がると思うんだけど、、、、(´・ω・`)
ちなみに、ビットコインが年内に150,000ドルに達するというかつての彼女の見立ても、すべて叔母からの内部情報だそうです。
マカオーーーーー!
そっちがそう出てくるなら、こっちだって負けていられません。
彼女がそうしたように、こちらも300万円の投資をチラつかせて彼女の射倖心をチロチロとくすぐってみます。
しかも架空女性Aの提示した報酬は1%とし、「ネギを背負ったカモ」ことワタクシが架空女性Aへ投資する強い動機を印象付けておきます。
すると彼女は、
案の定、300のうち100だけでもぶん取りたいというスケベ心を隠そうとしません。
「私はすごい投資家だから私に投資してくれ」
人参をぶら下げられた馬さながらの彼女の荒い鼻息が聞こえてきそうです。
とはいえ先述のように、ビットコインの予想ははずすし、簡体字使ってることがスクショでバレてるし、金融商品取引法すら知らないような始末です。
どうせ詐欺るのなら、本当にすごい投資家かもと思わせるような実績と振る舞いが必要だと思います。
つーか、はっきり言って、
この中国人のおっさん、投資もそうですが、とにかく詐欺が下手くそすぎると思います。
ホンビノス貝をハマグリと謳って提供する店とタメ張るくらい下手です。
せめてバナメイエビをシバエビと歌った高級ホテルくらい上手にやれよ(´・ω・`)
・・・・あ、あっちもバレて大問題になったっけ。てへ(๑>◡<๑)
そろそろ片を付けよう
ここで「美人で聡明な架空女性A」の口を借りて、詐欺師にクリティカルな一言を放ってみました。
そう。
架空女性Aは彼女が詐欺師であるとたちどころに気づいたという設定にし、それをカモであるワタクシに指摘したというストーリーです。
一方で、詐欺師の彼女にしてみれば、スペックのよく似た架空女性Aは、同様の手口でカモを引っ掛けようとしている同業者であるという推測は難くないでしょう。
一匹のエサに二頭が食らいつこうとしている構造です。
彼女はどのように手を打ってくるのか、、、、。
楽しみに待っていると、、、、、、。
「彼女も詐欺です。」
も???!!!!!
も、だと???!!
まさしく「語るに落ちた」とはこのことです。
相手に対抗して手数料を値引きを主張するあまり、自分も詐欺だと認めてしまっているのです。
いや、馬鹿なの?(´・ω・`)
こんな急転直下の終わり方ではアレなので、念の為、
「これ言ってみたらどうなるかな」的な期待をこめてワタクシは次なるメッセージを送ってみました。
手数料の安い詐欺wwww
自分でも何言ってんのかわかりませんwwww
が、彼女は律儀にも、
さらに手数料を値下げしてきますww
最初は8%と言っていた手数料が、0.01%まで急降下しました。
日本国の消費税も、是非彼女を見習ってほしいものです( ^ω^ )
ね? 岸田さん?
自分の発言のミスに気付いたのか、さらに立て続けにメッセージを送ってくる詐欺師。
「あなたを知って久しいです」
戸田奈津子の字幕かよ。
たてたてのコーヒーはいかがで??
かよ。
ワシら婚活アプリで知り合っただけやん(´・ω・`)
ぜんぜん「久しからず」ですやん。
ついでなので、最後にもう一発「これ言ったらどうなるかな」を投下してみることにしました。
もはやめちゃくちゃです。
手数料の安い方の詐欺に投資したいタイプのカモが爆誕してしまいました。
さすがの彼女も自分が笑われてると気付いたのでしょう、
頑張ってくださいwww
。。。。。。
しかし数分後、、、、、
悪すぎるだろ、往生際っ!!!
やはり300万円が目の前にぶら下がっていると、人は盲目的になってしまうのでしょうか。
この期に及んでまだ本当に300万円を投資する意思があると思えるポジティブさには、脱帽を通り越してもう一度かぶりなおすレベルです。
せっかくなので土俵際で粘る琴光喜みたいな彼女に便乗し、今度は「架空女性Aが詐欺かもしれないと不安になるカモ」を演じてみることにしました。
すると、
オーストラリアの原住民でも投げられないようなサイズ感のブーメランを余裕でぶん投げてくる詐欺師。
日本語の教科書的に綺麗なフリには
あっさりと自らの手口をバラしてしまう詐欺師。
さらに「不安になったカモ」に対して押したり引いたりの距離感で突き放したり自らの方向へといざなったりとコントロールしようとしてきます。
なるほど、、、
さらに手口を聞き出そうとすると、
今度はぷんぷんモードでツンデレを発動させる詐欺師。
ふぅん。
そっちがその気なら。
と、
こちらもSっ気たっぷりに突き放してみると、
すぐに100万円の投資を懇願してくる詐欺師。
世田谷の一方通行だらけの住宅街で道に迷った時さながらの右往左往っぷりにはこっちが心配になってきます。
その上、
「あなたを2倍にします」
というたいへん興味深い謎の宣告を受けてしまいました。
ワタクシの何が2倍になるの? 身長かな? (´・ω・`)
・・・・・・。
・・・・・・・・。
てゆーか、めんどくせぇ!
ワタクシは、ここでおもむろに LINEを閉じました。
お金と婚活はよく似てる
気づけば婚活アプリの有料会員期間が終了し、すっかりと肌寒くなっていました。
「食品添加物をモチーフにしたアンパンマンのキャラクターっていないよね」
「当然でしょ」
「いてもいいと思わない。グルタミン酸ナトリウムさんとか果糖ブドウ糖液糖ちゃんとか」
「なにそれウケる」
ママはあの日ノリで婚活アプリに登録したことなどすっかり忘れているようです。
例の詐欺師とのメッセージは止まったままになっています。
起承転結の「結」といえるほどのメリハリのある展開にはなりませんでした。
当然です。
最初から詐欺だと見抜いているのですから。
どうやらお金も恋愛も刺激物なので、ドラッグのように強烈な依存性を伴って人を惑溺するようです。
危ないものに手を出さないほうがいいですね。
ちなみに詐欺師が150,000ドルに達すると予想していたビットコインは、現在38,000ドルまで下落しています。
次は、相席居酒屋でマルチ商法の勧誘に引っ掛かってみたいと思っています。
誰か一緒に相席居酒屋いきませんか? (´・ω・`)
というわけで、みなさまも婚活は慎重に。