いってこいでチャラ

や〜めたっ☆

 

さて、串揚げをやめた理由です。

 

もちろん先述のように近隣において串揚げ業態がコモディティ化しているという点もあるのですが、もう一点、実は、当店にとってのっぴきならない事情がありました。

 

そう。人員不足です。

 

7月にこれまで手伝ってくれていたアルバイトさんが昼の仕事に転職し、それ以降、妻が手伝ってくれていました。

 

が、事情によりそれがままならない状況になってしまいました。

 

 

 

「新しいアルバイトを探そう」

 

 

・・・しかし。

 

 

昨今の趨勢的に応募は皆無に等しいでしょう。

 

よしんば応募があったとて、日本語がままならない外国人留学生がそのほとんどを占めると思います。

 

外国人でももちろん構いませんが、伝達に支障があるのは困ります。ぼくもお客さんも。

 

また留学生は学生ビザなので就労時間の規制もあり、学校の行事やテスト前、母国への帰省などで長期に休むことも多く、シフトが安定しません。

 

アルバイト不在によって営業できない夜があってはならないと思います。

 

かと言って日本人あるいは就労可能な永住権をもった人物に限定して求人をすることは法的に認められません。雇用機会の均等性を欠くからです。

 

そもそも求人広告を出すだけで数万円のコストがかかります。

 

たとえ応募がゼロでも掲載費はかかるのです。

 

ハローワークへの出稿は無料ですが、まあ、経験上、これがなかなかキビシイものがある。

 

そもそも当店の経営状況だと時給1100円が限界です。

 

閑散期に至っては、その支払いすらままならないでしょう。

 

 

そう。

 

もはや答えは自明です。

 

 

ワンオペでやっていこう。

 

というか、ワンオペでやらざるを得ない状況に陥っている。

 

 

一人で回せるようなオペレーションにしてしまえば、人材不足や人件費の支払いで悩む必要もありません。

 

思えば、この規模の店なら一人で充分に回せるスキルとメニュー構成でやっていくべきだったのかもしれません。

 

 

 

「競合との差別化」と「ワンオペ」を並立させるには。

 

 

「手間のかかる串揚げをやめてしまおう」

 

近隣との差別化とワンオペを同時に成立させるべく出した結論は、ドラスティックな変化が伴うものでした。

 

「ランチタイムの延長的なメニュー構成にして、『定食が食える居酒屋』みたいな感じはどうだろう」

 

しかし、大胆な変化と決断が必要な「脱・串揚げ」は、思えば一方でもっとも安易な選択でもありました。

 

「○○を食べに行く」という来店動機につながるキャッチーなコンセプトが欠けていたのです。

 

これまで「『じゃないほう』の串揚げを食べに行く」といらしてくださっていたお客さんをごっそり失うことになります。

 

しかしオペレーション的に串揚げは手間がかかりがちで、その上、原価率が高いです。

 

ワンオペで続けられる商材ではありません。

 

 

「うむっ・・・」

 

優柔不断なぼくにしては珍しく、すぐに決断を下しました。

 

「えいっ!やあっ!」

 

まるで竹槍で敵を突く少年のように、勢いよく一か八かの賭けにでたのでした。

 

 

 

新メニューは震えるほどのシロモノだった

 

串揚げを消しサイドメニューを少し増やしたA3サイズのメニュー表をセブンイレブンのコピー機から出力すると、なんとも言えない感慨でした。

 

「これで大丈夫かな?」

 

全然大丈夫じゃない感じがムンムンでしたが、とにかくワンオペで店を回すのだから仕方がありません。

 

かたわらに人がいない状況で、しっかりとお客さんに喜んでもらえるサービスを提供しなくてはいけない。

 

プレッシャーと混乱で思考が理路を失っている。そう感じながらも短期間に大きく進路を変えました。

 

同時に、サイドメニューも少しだけ価格をあげました。

 

理由は、その頃に読んでいた小説でした。

 

登場人物の物販会社の雇われ社長が競合との価格競争に負けないよう低価格路線に突き進もうとし、経営コンサルタントがその判断が誤りだと指摘し、限界利益率を上げるように指示する描写でした。

 

「この手法は、当店も陥っているコモディティからの脱却にも応用できる!」

 

直感的にそう感じました。

 

「価格以外のベクトルで差別化できなければ、日本中に数多ある瀕死の飲食店と同じ道を突き進んでしまう」

 

サクセサーではなくオリジネーターを目指さなくてはならない。

 

あっちが値段を下げたから、こっちも下げる。そうやって日本は20年にわたって成長を拒否してしまったのだから。

 

 

 

 

 

新メニューでの初日。

 

開店前に当店の公式LINEにてメッセージを送信しました。

 

「本日から串揚げやめました」

 

公式LINEには100名以上の登録者がいらっしゃいます。

その半分の方が読んでくれたとして、50人もの人に広告が打てます。

 

ぼく自身がLINEを未読放置しがちなタイプなので普段はあまり使いませんが、こういう時にはしっかりと既存のお客さんに伝達できるのでとても素晴らしいツールです。

 

「炊きたてのごはんを用意してお待ちしてます」

 

新たな方向性をそれとなく伝えて送信ボタンを押すと、ものの数分後にぼくの個人LINEに何人かのお客さんからメッセージが届きました。

 

 

「驚いた」「また近々いきます」「がんばれ」「おっす」

 

 

営業中も何名かのお客さんがいらっしゃって、

「心配になってうっかり飲みに来ちゃったよ」。

 

LINEメッセージの件には触れないながらも、久しぶりに顔を出してくださるお客さんもいらっしゃいました。

 

そのほかTwitterなどでも反応を頂き、胸が震えました。

 

思わず加山雄三のモノマネでサライのサビの最後の部分を熱唱しそうになりました。「胸が~震え~た~♪」

 

 

 

撤回

 

ワンオペによる運営上の手間→それによってお客さんを待たせてしまう→満足度が下がる件。

 

待たせることによって喫食数が減る。→客単価が下がる→収益が悪化する。

 

満足度の低下→再来店の機会が減る→固定客が離れてしまう。

 

串揚げやめる→串揚げ目当てのお客さんの再来店がなくなる。

 

サイドメニュー目当てのお客さんの増加を目論む→サイドメニュー目当てってそもそもナニ?メインは?

 

etc, etc.

 

 

 

前ブログ記事で書いた「七年周期のセミになって競合とのバッティングを回避する」手法は、どの側面からも店の寿命を縮めるような結果となってしまうのではないだろうか。

 

 

「・・・・・っ」

 

 

串揚げをやめると告知したあとのお客さんの反応を見ていると、どうやら今回の舵取りは詰めが甘かったようです。

 

素数セミ戦略自体は有用だとは思うのですが、単純に串揚げをやめるという安易な選択と、代替案を提供できないという点で片手落ちでした。

 

ワンオペ化という懸案事項がなければもっとじっくりと業態変更して新たな方向性を見いだせたのかもしれませんが、ワンオペ化は不可避です。

 

「必ず二人いなければ回らない」という点で、すでにアドバンテージを欠いています。

 

いわば低身長なのにバスケ選手を目指すくらい不利なのです。

ラップバトルで先攻をとるくらい不利なのです。

各駅停車が急行を追い抜くくらい不利なのです。

 

 

 

 

「ワンオペだけど・・・・やっぱり、串揚げを再開しよう!」

 

 

 

 

まるで1万枚売れなかったら芸能界を引退すると豪語しておいていざ売れなかったら引退宣言を撤回してシャーシャーと芸能界にしがみついたmisonoのように、ぼくは早々にエロみっともないオジサンの醜態をさらす決心をしました。

今後、ウチのことは「中野坂上のmisono」と呼んでくれていいんですよ♡

 

 

・ここからまたはじめよう

 

でも、どうやってワンオペと串揚げの両立させようかな???

 

プライオリティを整頓しよう。

 

まず最優先にすべき事項は、「ワンオペ化」です。

人材不足なのだから、一人で回せるメニュー構成にしなくてはなりません。

時には家族や友人にアルバイトをしてもらうとしても、それはあくまで余剰人員であって、アルバイトの不在が店舗オペレーションに支障をきたさないという大前提は守りたい。

 

実際に人員不足による撤退や閉店は飲食業では珍しくありません。

 

第二に、「競合との差別化」です。

これまでサイドメニューを充実させることによって同業態との差別化を図ってきました。

メイン商材の串揚げもラードではなくコメサラダ油を使用し、小麦粉と水を混ぜたいわゆるドロではなく打ち粉と溶き卵を使い、パン粉には炒り胡麻を混ぜて香ばしさを出してきました。

サメなどの他にない食材も積極的に取り入れてきました。

 

・・・しかし、なにかが足りない。

 

サッカーワールドカップ南アフリカ大会の日本代表のように、当店はあと一歩の決定力に欠けている感が否めませんでした。

 

 

その”足りない何か”とは、「収益性」です。

 

一般的に「串カツは原価が安い」と言われがちですが、実は焼き鳥などに比べると原価率は高いです。

鶏肉と野菜だけの焼き鳥と違い、肉類、魚介、野菜と多岐にわたるメニュー構成では在庫リスクも高くなります。

在庫の食材が劣化すれば廃棄するので食材ロスも発生します。

 

また当店では油などの付帯コストも高く、喫食数が少なければ一食あたりの提供コストが高くなります。

例えるなら、油を買ってきて自宅で揚げ物をし食事後に凝固剤で固めて廃棄した場合、一食の食材費に加えて油や凝固剤の代金が食費に乗っかってきます。

コレは「変動費」ではなく「固定費」なので「仕入原価」に算入されません。

 

つまり、こういうコストを考慮した価格設定にしなければならないのです。

また、それらは「固定費」なので喫食数が増えれば一食あたりの費用は相対的に下がります。

 

そう。逆に言えば、

 

繁盛してないのに取扱い商品数が多く、その割に販売数が少ない。

それを主たる要因として「理論上の原価率」と「実際の原価率」に大きな開きが生じてくるのです。

 

ワンオペになれば、総喫食数は必ず減る。(´・ω・`)

・・・ならば、品数を減らそう。そして価格を上げよう。

 

①取扱い商品数を減らす。

②串揚げの原価率を下げる。

そしてかねてからの懸案だった、③セルフサービスの「おすそわけシステム」の利用へ誘導する。

③に関しては、生ビールの価格を上げてビールの喫食数を減らし、その分お得感のある「おすそわけシステム」への流入をくわだてる。

 

この連結スキームによって、

「ワンオペだけど串揚げも取り扱える状況」を作り出す。

 

チャレンジ2018!

 

 

 

 

要するに

 

長々と語ったけど、

 

「家庭の事情でワンオペ」

 

「やっぱり串揚げがんばる」

 

「これまでの赤字体質を抜け出すため、少し価格あげる」

 

「あとビールを値上げしたから『おすそわけシステム』を利用しまくってください」

 

という判断をしました。

 

 

 

ウチ、迷走してもうて、えらいすんまへん!

 

これからも中野坂上のmisonoをよろしくやで!