政策金融公庫の面談に必要なのは海老蔵クラスの演技力【実録☆開業日記4】

前回

 

電話の先で名乗った公庫の担当者は、穏やかな声の女性でした。

「きっとこの人が担当なら融資してくれるに違いない」

 

女ばかりの家庭で育ったせいか、それとも単なる男尊女卑なのか、「女性は優しい」という偏見があるぼくはこの時点でとても安心しました。

 

 

面談の日を決め、その日までに用意する書類の指示を受け、紳士的に電話を切るとソッコーで「日本政策金融公庫 年収」でググるゲスいわたくし。

そうです。性と金の話がみんな大好き。性と金のトラブルが世界を回していると言っても過言ではありません。バビューン☆

 

 

 

担当者の年収を調べたのは、なにも単純な好奇心だけではありませんでした。

開業に必要な「自己資金」を開示する上で、どう「演出」すべきかという方向性を決めるためでもありました。

「薄給の中から地道に貯めた開業資金」と「それなりの所得の中からちょろっと貯めた開業資金」では印象が変わってきます。

 

公庫では「開業資金を貯める能力」を見る傾向にあるので、「そこそこ所得があるのに開業資金はそれほど貯められない」という印象は避けたいところです。その対策としてあらかじめ担当者の金銭感覚を探っておくべきだと考えました。

 





融資の用途は不動産取得費と改装費です。

家賃14万円、保証金8ヶ月。造作譲渡費50万円、造作譲渡手数料30万。

さらに諸々の経費を含めると不動産取得費が合計でおよそ250万円。

自己資金が150万ほどなので、このままでは融資金額はたった100万円という計算になってしまいます。

 

 

ん~なんだか心許ないなぁ。

できるだけ大きな額を引き出したい

 

 

そこで僕は知人の電気工事屋さんにお願いし、改装費として180万円の見積書をでっち上げ、いや、作って頂き、本当は必要のない改装をするかのように見せかけてより大きな金額を借りようとくわだてました。

 

さらに当面の運転資金として120万ほど計上し、合計で400万の融資を申込んでいたのです。

 

毎年のように海外旅行に行っていた事は秘密にして、あくまで「忙しい中でこの先の人生を考え独立という選択をしたが地道に貯めた開業資金ではままならず公庫様に融資をお願いしにきた将来の飲食業界を担う男」として申し込む400万の融資。

 

演出の準備は完&璧でした。

 

 

 

また自己資金150に対して融資希望額400というのも理想的なバランスでした。

 

公式には自己資金の10倍まで融資するというスタンスの政策公庫ですが、実際は自己資金の3倍から5倍が関の山。2倍程度の希望額でも事業規模が大きかったり事業計画書が杜撰だったりすると融資不可となるそうです。

 

その点もしっかりと睨みながらの400という、まさにちょうどよい「落とし所」をこちらから振っていくのがこの段階でのキモと言っていいと思いますし、勝負のコクさえ感じました。

 

 

 

とは言え、やはり気がかりなのはスーツが夏用という「将来の飲食業界を担う男」にあるまじき失態と、オラついたサラリーマンさながらの「ウソみたいに先のトンガッた革靴」というダサさ。

 

 

ダサさの前借り&後払い。嗚呼。絶対こんなはずじゃなかった

 

この革靴を買った数年前の自分をなじりたい気分を閉じ込めて、僕は下駄箱の中でもことさら先の丸いBIRKENSTOCKのモンタナをスーツにあわせてみました。

ぼくのモンタナはドイツ国内と新宿店のみで販売された限定品で色は深めのブラウン。

スーツの色は何の変哲もないブラック。

どう考えても靴だけが浮いていましたが、この際、贅沢は言ってられません。

とにかく先のトンガッた革靴では、公庫の面談では不利な気がして仕方がなかったのです。

 


 

面談の当日。

夏用のスーツにも関わらず汗ダクになりながら到着した日本政策金融公庫新宿支店。

紹介された担当者はいかにも聡明そうな女性。しかも若い。

「きっとそこそこ良い大学を出て新卒で日本公庫に入社したであろうこの担当者様からみたら、ぼくのような底辺のおっさんはどう映るのだろうか」

謎の自意識をこじらせながら頂いた名刺を見るとキラキラネームの三歩手前くらいの絶妙に美しいお名前。

なんて読むのかな??

きっとこの人はお酒もあまり好きじゃなさそうだし、タバコも吸わないだろうし、気まぐれにパチンコや競馬に行ったり深夜の歌舞伎町で脱法ハーブの店を探したりしないんだろうな。

混濁した意識と緊張で劣等感を発動したぼくは、あらかじめ用意した資料の数字を読み上げながら自分の事業計画の安定性を控えめに説明するのが精一杯でした。

 

 

 

 

{今日は酔っ払っているのでもう書くのはやめて}続く。