店の名は。

アニエス・ヴェーは長らくアゲインLだと思っていたし、ファンになる前はでんぱ組ドットインクと読んでいた。

[Alexandros]に至っては未だに読めない(今、調べた)ままだし、GIF動画はやっぱりギフと読んでしまうし、hy4_4yhハイパーヨーヨと読む理屈はわからないけど、もっと流行ってもいいと思う。

0930おくさまだなんて思わなかったし、GOGO7188結局そのまま読むのかよっ!てむしろ驚いたりした。

サンクトペテルブルクセントピーターズバーグとではスラム高級住宅街くらい印象が変わる。単にロシア語読みか英語読みかの違いだけなのに。

事ほど左様に、名前ってやつは重要で、パーソナリティと密接に結びついてアイデンティティを担保するものなのだと思います。

ハーフタレントのタメ口が許されるのは、芸名がいかにもハーフだからで、もしローラが田中眞紀子という名だったら、コテンパンに嫌われていたと思います。傷だらけの眞紀子。

ロックバンドに学ぶ店のネーミング

名前なんてただの識別記号に過ぎない。

とはいえ、それが店のアイデンティティでもあります。

ダンチョーの思いでネーミングを思案するというのは、きっと誰もが通る道なのかもしれません。

僕が子供の頃、「黒夢」というロックバンドが活躍していました。

ある時、インタビューでバンド名の由来を尋ねられたヴォーカルの清春は次のように答えたそうです。

当時のインディーズ化粧系バンド界隈では、英語やフランス語でLaから始まるような名前のバンドが多かった。対バンイベントのフライヤーに列記されたバンド名の中でひときわ目を引くよう、当時の流行とは逆行する漢字のバンド名にして、名前だけでも覚えてもらおうと思ったそうです。

ほどなくして名前が浸透した黒夢はメジャーデビュー前にも関わらず渋谷公会堂でワンマンライブをするほどビッグになりました。めでたしめでたし。

「なるほどっ! そういうトリッキーなの、アリだな」

やっぱり名前って大切なんですねぇ。ロックバンドも居酒屋も。

「和民」と「魚民」の泥沼係争から学ぶネーミング

最近では大手焼き鳥チェーン「鳥貴族」が商標やビジネスモデルが類似しているとして「鳥二郎」を相手取って訴訟を起こしたり、ラーメン界隈では「家系」の商標登録でゴタゴタしたり、その辺りのイザコザは枚挙に暇がありません。

「そんなの大手だけでしょ。対岸の火事だよ」

実際ボクもそう思います。

・・・・とはいえ。

たとえこちらに悪意がなくても、商標が似ているという理由で損害賠償請求されるアメリカンな社会がやってくるかも知れません。

係争が始まってしまえば、裁判費用はかかるし、資料の精査や出廷などで無用な雑務を強いられます。

仮に裁判に勝ったとしても、それに費やした労力やお金を取り戻すのは容易ではありません。

料理には特許や商標や意匠はありませんが、店舗にはそれがあります。

そこで僕は考えました。

居酒屋の名前としてまだ存在しないネーミングを先取りするしかない!

転ばぬ先の杖を持つ男になるのだ!なってこます!

「店名 居酒屋」でググレカス。

まず考えた名前が、「磊々落々」

「鷹揚とした」という意味の四字熟語で、いかにも居酒屋っぽい。

さっそくGoogleで「磊磊落落 居酒屋」と検索すると・・・。

デデ~ン!渡邊、アウト~!

てか、そもそも俺、滑舌悪いからラ行とか巧く発音できないじゃんん。

ダイダイダクダクになっちゃうじゃん。ぐぬぬ。

と謎の自己弁護をして次へ。

 

次に考えたのが「秘密基地」

ビジネスマンが「今夜、秘密基地行こうぜ」とか言ってるの、童心を忘れてない感じでエモいからイイじゃん。

Googleで「秘密基地 居酒屋」と検索すると・・・。

うん、あるよね。都内にもたくさん。しかも食べログの評価も高いね。行ってみたいね。

ならばここはいっちょ、黒夢戦法でいってみよう。

「フェルマーの最終定理」はどうだ。

300年以上も解かれることのなかった数学の大問題だ。

息の長い商売ができるようにという願いを込めてレッツ検索!

フェルマーの最終定理 居酒屋

おぉっ!(゚∀゚)キタコレ!!

・・・でも、全然居酒屋っぽくない。むしろ風俗店っぽい

 

ならばトリッキーに「一号店」という店名はどうだろうか。

「お電話ありがとうございます、一号店です」という遊び心のこもったネーミング。

どこの一号店だよっ!

いいえ、一号店という名前の店なんです。

という無意味な禅問答。

トリッキーでエッヂの効いた名前じゃないか!

よし、レッツ「一号店 居酒屋」検索!!

わかんねーよ!

どっかの店の一号店ばかりヒットして、一号店という名前の店があるのかどうかも判らない。だめだな。

くそう。

名前、なかなか決まらないな。う~ん。

 

 

 

 

 

こじらせてる例のヤツ

いつかのニュースで見た話ですが、リベンジポルノで捕まった男が犯行動機をこう供述したそうです。

「どうせ、だれも見てないだろうと思ってた。」

僕なんかはむしろ逆で、すれ違う人全員が怖いし、「このおっさんキモッ」って顔で僕を見ているし、歩行中の両手の正しい位置がわからなくなってポケットに突っ込んでみたりスマホをいじってみたり不自然に腕を「く」の字に曲げたまま歩いたりします。

電車の中で自分の呼吸の音が大きいんじゃないかと思い、そのまま過呼吸に陥ったり、苦しくなってホームで休憩して次の電車を待ったり、結局ホームに滑り込んできた次の電車が怖くなってそのまま歩いて帰ったりします。

自意識過剰・・・っ!

そうか!自意識過剰!悪くない!

・・・という訳で、

そのまま店名として命名しました。

 

本当はもっとエッヂの効いた名前や、いかにも居酒屋然とした名前の案もあったのですが、「こういう尖ったセンスの俺最高!」とか「渋めの四字熟語かっこいい!」とか思いながら思案している僕自身がまさにそれこそ自意識過剰だなと思い至り、とたんに冷めて、すんなりと決めました。

 

 

 

ちなみに、「黒夢」という名称の商標権は、後に運営会社の税金滞納により国税庁の公官庁オークションに出品されました。